Takahiro Yoichi

執行役員 マーケティング事業部長世一 貴大

サービス構築の面から
経営を加速させる。

フォースリーを牽引する三人の役員のうち、最もクールでロジカルな表情を見せるのが与一である。それもそのはず、ジョインから一貫してサービスづくりに力を注いできた、会社成長の立役者ともいえる存在だからだ。そもそも独立志向は持っていなかった、と語る与一だが、いまとなっては自ら事業会社の経営にも乗り出す起業家としての側面も併せ持っている。そのきっかけをくれた林には感謝しかない、と笑う。
Profile

1987年2月25日 大阪府吹田市生まれ
【my favorite】
元カジノディーラー / 格闘技 / 豊臣秀吉の奥さん / 億る

林と一緒にいる時間の長さと濃さ。

僕が新卒で入社した会社で、一番最初に配属された部署の先輩、それが林でした。そこからの付き合いですね。仕事はもちろんですが、それ以上にしょっちゅう一緒に遊んでいました。一応、年上なので敬語は使いますが、それ以外はほとんどタメみたいな感じで。当時のオフィスがマークシティにあったので、僕、近くの円山町にアパート借りていたんですよ。そこへ終電なくして帰れなくなった林が泊まりに来るという。本当に仲良かったんです。そのうちに林が独立し、僕は結婚することに。少しずつ疎遠になっていくんですが…その後、僕がプライベートで上手くいかないことがあったタイミングでまた声をかけてくれた。だいたい1年半ぐらい遊んでいたんですが、林から「そろそろ一緒にやるか」と。

お互いがわかった上でのジョインだったので、それはもうスムーズで。僕も会社行きたくない頃だったし、かといって転職する意欲も湧かず、というタイミング。まさに渡りに船でした。もし林が声をかけてくれなかったら本当にふつうのサラリーマン、いやふつう以下で終わっていたかも知れません。いちばんしんどい時に遊んでくれて、独立するきっかけまでくれた。本当に感謝しています。

ファクトから仮説を立て、確実な読みにつなげる。

入社直後はあるベンチャー企業のWebコンサルティングからスタート。その頃、同時にアフィリエイトにも着手しはじめました。まあ、僕も林も広告やってたんだからアフィリエイトも上手くいくだろうと。ところがまったく上手くいかない。なんでだろう、と不思議に思いながら仲の良いアフィリエイターのセミナーに参加してみたんです。そうしたらその内容がすごくて(笑)。ああ、自分たちはできていなかった、と反省し、一度アフィリエイトから手を引きました。まずは着実にリスティングで、地道にマネタイズを図っていこうと。

しかし一方で読みとして、リスティングでの利益限界は見えていました。周囲を見て理解していたんです。なのでリスティングでの粗利が目標額を超えたところで人を採用して任せちゃおうと。それでなお余った利益をアフィリエイトに追加したんです。すると、ある時ある商材でドンと跳ねまして。「なんだこれは」と盛り上がったんですが、そこからアフィリエイトへとピボットさせていきました。ファクトを集めて仮説を立て、そこからの読みが当たっていたというのは単純に気持ちいいですよね。ただ、正確に言うと仮説というより人脈のほうが強かったんですけどね。

質の高い情報を集めるなら泥臭い活動も大切。

一見するとものすごく戦略的に動いているようですが、実は成果に直結していたのはアフィリエイターのネットワークから得られる情報がほとんど。人と人のつながりで、泥臭い一面もあるのですが有益な情報を得られることが多かったですね。もちろん僕も営業もしますし。六本木で飲みながら入ってくるネタが大きな利益に化ける、なんてことも日常茶飯事。WebやITだからといって、人間関係を軽視するのはナンセンスだと思います。この勢いでもう少し規模拡大は狙えるんじゃないか。そのためにもいまは先行投資のフェーズです。中身が多少固まってなくてもポンポンヒットを打ってつないでいる感覚ですね。そうしている間に徐々に足場固めをしていこうと。

会社のサービスが変遷するように、自分自身も変わったところがあります。それは打たれ強くなったということ。会社経営していると、望まないのにいろいろと面倒なことが起きますよね。以前なら結構ダメージ受けたりもしていたけど、そういったネガティブな状況も逃げずに受け止められるようになりました。いまでは精神的に何があっても大丈夫、ぐらい言えます。

役割分担が絶妙なバランスで成立している。

林と僕はタイプがまったく違う経営者だと思っています。経営者ってふたつのタイプにわかれると思うんですよね。ひとつは人を惹きつけることに天賦の才を持っている。コミュニケーション重視で、場の雰囲気を盛り上げて、っていうタイプ。そしてもうひとつが数字に明るかったり、サービスを実際につくるタイプ。ウチに当てはめると見事に林が前者で、僕は後者なんです。だからいつも林には組織をつくってくれ、僕はサービスをつくる、と言っています。全体の方向性や方針は林から直接、あるいは管理本部の山田から発信してもらえばよくて、僕はそこにはあえてタッチしない。この役割分担がいいと思うんです。きれいに分割できていて、上手く機能している。それが会社全体のフラットな空気につながっているんじゃないでしょうか。

林と一緒に走りはじめて、もう5年になります。最初は5人ぐらいの規模だったのが、いまでは20名に。一応、僕の中ではシミュレーションできていたスケール感です。ただ、これ以上になるといままでのモデルじゃ通用しない。新しいビジネス、新しいサービスを創造していかなければと考えています。でもサービスを作る上で、こんなにやりやすい環境もないでしょうね。それは胸を張って自慢できます。

いつだって自然体。決して気負うことがない。それが与一のイメージであり、実際の人となりでもある。林が「動」の経営者なら、与一は「静」の経営者。だからこそメンバーは安心して、この絶妙にバランスのとれた世界観の中で動き回れるのだと思う。働きやすさは決して制度や目に見えるものではない。組織を牽引する人たちのたたずまいによって規定されるものだということをあらためて感じることができた。 (取材・構成・文/早川博通 撮影/小野千明)