Yuki Hayashi

代表取締役 CEO林 勇輝

すべては有機的な
アウトプットのために

非言語コミュニケーションの追求と、言語化の徹底。そして有機的なネット広告代理業へ。フォースリー代表の林が発する言葉はそれぞれが独自のベクトルを持ちながらも、最終的には大きな矢印となり組織を牽引する力を持つ。点と点が線を結び、やがて面になる…創業10周年を迎えてなおアップデートを続ける林の思考と行動をトレースする。
Profile

1982年11月14日 東京都葛飾区生まれ
【My Favorites】
シーサー / 沖縄 / ゴルフ / サーフィン / サッカー / キャンプ / スキューバダイビング

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新しいクリエイティブは非言語から

僕たち広告業は言うまでもなくコミュニケーションを生業としています。ただし有名なメラビアンの法則にもあるように、コミュニケーションの約9割を占めるのは非言語。ということはたったの1~2割でしか仕事をしていないことになります。つまり残りの8~9割にこそ未来がある。新しいクリエイティブを創造するために、非言語コミュニケーションを追求すべきなんですよね。
ではどうやって非言語を扱うか、ということですが、深い感情変化を伴う共通体験が鍵を握っているんじゃないか。そう考えて、社員と一緒に淡路島で稲刈り体験を実施しています。ここで新しいインスピレーションを感じてもらう。刈り取ったお米を誰かにあげるとき、あるいは誰かと一緒に食べるとき。きっと自分の言葉で稲刈りの体験やそのときの情景を語ると思うんです。
美味しいって、味が美しいと書きますよね。でもほとんどの人は味が美しいとは感じていないはず。僕らはコミュニケーションのプロである以上、美味しいと書く時は味が美しいことを表現しないといけません。味が美しいと感じる感性を養うこと。それを訴求するスキルを磨くこと。その取組みの先に、新しいクリエイティブがあると考えています。

組織づくりはブレない言語化から

一方で組織づくりに関しては言語化に徹底的にこだわっています。規模の拡大にともなって組織に価値を感じてほしいと思うようになったんです。そのためには会社としてどんな価値観を持っていて、何があるべき姿なのかをブレない言葉で提示する必要があります。特に多様性を重視しつつよりよい組織であり続けるには、言葉にはとことんこだわるべきでしょう。
ミッションやバリューを浸透させることもそのひとつ。これまでは僕がひとりで発信すればそれでなんとかなりました。でもこれからは役職者はもちろん、主要な立場のメンバーも僕と同じ熱量と粒度で価値観を語れないといけない。それができてはじめて、フォースリーという組織の可能性が広がっていきます。僕が直接発信しなくても、現場の責任者が同等のメッセージを出せること。さまざまな新規事業にチャレンジしていく上でも欠かせない取組みだと考えています。
フォースリーにおいては役割という言葉も重要なキーワードです。営業も開発も運用も制作も、人事も総務も経理も、すべては役割であると定義。だからオーダーを明文化して、やってほしい仕事を伝えています。ここも言語化が大事なところですね。曖昧にしてはいけません。そもそもメンバーには価値のあることをやってもらっているんですから、その価値の内容を依頼主である僕が言葉にするのは当然のことではないでしょうか。

有機的なネット広告代理店として

冒頭で稲刈り体験を通じて非言語コミュニケーションを追求するという話をしましたが、実は沖縄のサンゴ養殖施設運営会社のサポートも行なっています。これは「人の可能性を最大化する」というミッションを発展させたものですが、もう一つの意図としてメンバーに自分たちの仕事の価値をリアルに実感してもらいたい、という思いがあります。
インターネット広告は管理画面上で完結し、効率よく合理的に数字をつくれるビジネスモデル。それだけにどうしても無機質であり、仕事の手応えやリアリティを得にくいという側面を持っています。でも日常業務の延長線上に沖縄のサンゴ礁を育てるという取り組みがあるとしたら…自分たちのやっていることが後世に価値を残すことになる。その事実に触れるだけでも、少なからず感情が動くんじゃないでしょうか。
やはり人間、感情が豊かであるべきです。感情をテーマに、非言語コミュニケーションを追求しつつ、組織運営では言語化の徹底を図る。それが僕らが目指すべき有機的なインターネット広告代理店の姿です。有機的とは多くの部分から成り立ちながらもそれぞれの間に密接な関連や統一があり、全体としてまとまっているさま。いろんなことがあちこちで起こりつつも、広がりながらそれぞれがつながる。そして大きな円環を描く。そんな会社になっていけたら、と考えています。